「おばあさま……」坂本加奈は心を見透かされ、頬が赤くなった。
上野美里は娘を庇って、「お母さん、加奈が休みの時くらい、浩二と恋愛を楽しませてあげてください」と取り繕った。
坂本おばあさまは照れ隠しに、「私なんか嫉妬してないわよ、そんなこと言わないで」と言った。
「はいはい、嫉妬なんてしてませんよね」上野美里は彼女にコップの水を渡しながら、娘の方を見て「最近元気?」と尋ねた。
「とても元気よ」坂本加奈は顔を輝かせ、生き生きとしていて、とても幸せそうだった。
「それならよかった」上野美里は持ってきたフルーツバスケットを手に取り、「果物を洗ってくるわね」と言った。
坂本加奈は自分で行くと言ったが、上野美里に止められ、おばあさまと一緒にいるように言われた。
上野美里がキッチンに入り、ドアを閉めると、病室には祖母と孫の二人だけが残された。