第212章:なだめない

「おばあさまが伝えたいのは、他人があなたをどう見るか、どう言うかに関係なく、一番大切なのは自分が自分を知っていること、そしてあなたを愛する人があなたを知っているということよ。」

「おばあさまは以前、愚かだった。林翔平が良い子だと思い、あの子と一緒になれば一生安らかに過ごせると思っていたけれど、あなたの人生を台無しにするところだった。」

「あなたがおばあさまを安心させるために黒川くんと結婚したことは分かっているわ。辛い思いをさせてしまって申し訳ない。」

黒川浩二はここで読むのを止め、坂本加奈の方を見た。彼女もブレスレットを回す動作を止め、彼を見上げた……

瞳には驚きが浮かび、目尻は赤くなっていた。

黒川浩二は続けて読み進めた。

「黒川くんは良い子よ。おばあさまは、あなたたちがきっと上手くやっていけると分かっているわ。あなたに良い行き先があると分かって、おばあさまも安心できる。」