坂本加奈は窓の外に咲き誇る花火と、繰り返し流れる字幕を見つめ、思わず頬を覆い、興奮で声を上げないように我慢した。
澄んだ瞳は花火の映り込みでより一層輝き、愛らしい顔には喜びと感動が溢れていた。
黒川浩二は彼女がよく見えるように、立ち上がって彼女を空いているスペースへと導いた。
坂本加奈はガラスに寄りかかり、瞬きしながらこの光景を見つめた。「とても綺麗!」
「気に入った?」耳元で男の低い声が響いた。
黒川浩二は彼女の後ろに立ち、とても近くで、息遣いまでもが首筋にはっきりと感じられた。
坂本加奈は躊躇なく頷いた。「うん、とても綺麗...」
墨都では大きな祝日以外、こんなに綺麗な花火は見られないのだから!
黒川浩二は彼女の脇の下から腕を回して抱きしめ、唇を彼女の耳に寄せて、低くかすれた声で言った。「お誕生日おめでとう、かなちゃん」