第318章:彼女を心配させる(その15)

坂本真理子は目を白黒させ、自分が彼を補佐するのはまだしも、どこからともなく現れた若造の補佐なんてとんでもない。

夢でも見てろ!

森口花は我に返り、頷いて「分かりました。兄さん、ご心配なく。必ずご期待に添えるようにします」と言った。

黒川浩二は軽く頷き、「問題ない、皆帰って...ゴホッ、ゴホッ...」

言葉が終わらないうちに、拳で口を押さえて咳き込み始めた。

坂本真理子は一晩中寝ていなかったので、真っ先に帰宅して眠りについた。

森口花も車椅子を押して黒川詩織を黒川本邸まで送った。

薄田正は黒川浩二の肩を軽く叩き、何も言わずに立ち去った。

中谷仁はソファに座り、長い脚を組んで、眼鏡の奥の深い瞳で波風立てることなく彼を見つめ、まるで彼の顔に何かを探しているかのようだった。

黒川浩二は目を伏せ、「まだ帰らないのか?」