第353章:世界一可愛い

黒川浩二が箸を取って食事をしようとすると、白川櫻がまた口を開いた。

「妹を傷つけても謝らないなんて、夕食抜きで部屋で反省しなさい」

黒川浩二は数秒間箸を握りしめた後、結局手を放して、階段を上がっていった。

白川櫻も立ち上がって黒川美月の足の傷を確認し、思わず不満を漏らした。「あの時、しろちゃんを連れて帰って育てるべきじゃないって言ったでしょう。見てよ、今どうなってるの?美月の面倒も見られないなんて!」

「まあまあ、しろちゃんも故意じゃないよ」黒川徹は優しく諭すように言った。「傷は浅いから、数日で治るよ。美月のダンスにも影響ないだろう」

黒川美月は急いで頷いた。「ママ、数日休めば大丈夫だよ」

白川櫻は仕方なく溜息をついた。「今はそうするしかないわね…」

黒川浩二は階段口まで来たとき、思わず足を止め、横目で食堂の方を見た後、うつむいて一人で階段を上がっていった。