「あら、早く帰ってきてね。外は日差しが強いから、日焼けしないように」上野美里は思いやりを込めて注意した。
坂本加奈は振り返りもせずに外へ走り出した。「わかってるよ」
「この子ったら……」上野美里は笑いながら首を振り、その声には愛情が溢れていた。
坂本加奈は警備室まで小走りで向かい、ドアをノックした。
開けたのは中年の男性で、優しい表情で笑みを浮かべながら「お嬢さん、何かご用でしょうか?」と尋ねた。
坂本加奈は走ってきたため息を切らし、頬を赤らめ、鼻先に小さな汗が浮かんでいた。二度ほど深呼吸をしてから「昨、昨夜、入り口で不審者を見かけたんですが、防犯カメラを確認させていただけませんか?」と言った。
そう言って、自分の部屋番号を告げた。
警備員は彼女を中へ招き入れ、脇の椅子に座らせると、自身はパソコンの前に座って監視カメラの映像を確認し始めた。