衝突する銃弾

ムーランは痛みで叫び声を上げないよう唇を噛みながら、彼の顔をゆっくりと見上げた。鎖骨を掴む手の力が強くなっていた。

「俺を誘惑しているのか?」彼は遊び心のある口調で尋ねた。

ムーランは思わず彼の顔に唾を吐きそうになった。誘惑?なぜ魂のない悪魔と関わりを持ちたいと思うだろうか?もしかしたらこの男にも、金や権力、自分の命以外に少しは愛着を持てるものがあるのかもしれない。彼女は弱点のない人物こそが、自分の望む生活を与えてくれる唯一の存在だと考え、彼を選んだかもしれない。しかし残念ながら、彼はそのような人物ではなかった。

デイミアンはムーランと視線を合わせたまま、くすりと笑った。「ムーラン、なぜ俺がこれまでお前を邪魔しなかったか分かるか?それはお前が素晴らしい駒だったからだ。幼い頃から…」デイミアンは一旦言葉を切り、彼女の鎖骨から手を離し、スパゲッティストラップの肩紐に指を這わせ、ゆっくりと肩から滑り落とした。