潜む危険

「ああ、ルーベンは、オーディションに合格してからというもの、男子寮にも会社にも来ていないって聞いたわ。フィービーと彼女の友達から練習室を奪った時以外はね」

「へぇ、それは変ね」とジェスリンは眉をひそめた。

「そうなの。一度会いに行きたいって言ったんだけど、いつも不在だとか何とか言って断られちゃった」

ジェスリンは頷いた。「うん、私もそうするわ。だって、あなたは彼のことを嫌っているのを隠そうともしないのに、なぜ突然会いたがるの？また彼をいじめるためじゃないの？ルーベンは正しい判断をしたわ」

「あぁ、ロッサ、それは不公平よ。確かに、彼のことはあまり好きじゃないわ。だって偽善者みたいだし、嘘つきっぽいというか...具体的に何とは言えないけど、絶対に悪い人だって確信してるの」

「ははは、それとも、好きなのに認めたくないだけじゃない？敵から恋人になるみたいな―」

「いやぁ！ロッサ、それはありえない！独身のままでいる方がまだマシよ、ルーベンなんかと...」と彼女は鼻を鳴らした。「...それに、彼は私の好みじゃないし」

「あなたの好みは知らない人なのよね。なんだか同情しちゃうわ」

「あら、親愛なるロッサ、そんな風に思わないで。私は運のいい女よ。そしてね？」ロリータは照れくさそうに微笑んだ。

「当てっこは嫌いよ」とジェスリンは道路に目を向けたまま答えた。

「私、好きな人に会えたの。マット先生っていう人で、キスまでしちゃった―」

「キィー！」車は道路の真ん中で急停止した。ジェスリンはロリータの方を向いて尋ねた。

「今なんて言った？！」

「え？私が見つけた―」

「違う、名前は何て言ったの？」

「ああ、マット」

「マットって、マーベリックの友達のマット？」彼女は眉をひそめた。

「マーベリックってアルファ・カオスのことなら、そうよ」

ジェスリンは息を呑んだ。

「道路から出ていけ、特権階級の野郎ども！！」と誰かが追い越していく車から叫んだ。

「結構よ、貧乏人！！」とジェスリンは叫び返した。

「貧乏売女の方が適切ね」とロリータが訂正した。

「ははは...話題を変えないで」ジェスリンは笑うのを止めて会話に戻った。「あの無表情なマットがあなたにキスしたって...それともあなたが彼にキスしたの？」ジェスリンは目を細めた。