第22章 見つけた

沢井千惠は前方を呆然と見つめ、まるで再び氷と雪の世界に放り込まれたような気がした。

前回沢井家で、沢井奥さんは林さんと共謀して彼女を侮辱した。今回も、沢井奥さんが林さんと手を組んでいることは明らかだった。

そうでなければ、林さんがどうして契約の日時と場所を知っているはずがあるだろうか?

沢井千惠は拳を固く握りしめた。

林さんは彼女の泣きそうな顔を見て気分が良くなり、入り口で待っている沢井恭子を見ながら、意味ありげに言った。「見たでしょう?これが権力と地位よ!どんなに能力があっても、出自がなければ何の価値もないのよ!」

「佐藤家の敷居は高いのよ。みすぼらしいアヒルの子が白鳥になれると思ったの?教えてあげるわ。アヒルの子が白鳥になれたのは、もともと白鳥の子供だったからよ!」

「あなたたちなんて...海浜市では何の価値もないわ!」

林さんがここに来た目的は、彼らに両者の地位や身分の違いを見せつけることだった。

彼女は顎を上げ、目の前の二人の女性を高慢な目つきで見下ろした。

「林さん、いらっしゃいましたか!」沢井奥さんは遠くから積極的に挨拶し、中島誠司に紹介した。「こちらは林商事の取締役会長夫人、林さんです。」

中島誠司が振り向いて、彼女たちを見ると突然親しげな笑みを浮かべ、大きな歩幅で近づいてきた。彼は両手を差し出し、軽く腰を曲げ、非常に恭しい態度で「あなたもいらっしゃったんですね!」と言った。

林さんは突然の歓待に驚いた。

Zグループは海浜市で急速に台頭し、設立からまだ10年も経っていないにもかかわらず、すでに佐藤家と対抗できるほどの力を持っていた。

そして中島誠司は新興勢力として、多くの人が付き合いにくいと言っていた。

まさか自分にこれほど親切に接するとは思わなかった。

林さんは一歩前に出て丁重に迎え、両手を差し出した。「山村社長、お会いできて光栄です。噂に違わぬお方ですね、あなたは...!」

中島誠司は今日正装のスーツを着て、ネクタイを締め、女性よりも艶やかな顔立ちに、紅い唇が自然と映えていた。彼は親しげに微笑んで、そして——

林さんの横を通り過ぎた!

林さんはその場で固まった。