佐藤大輝は手の中の写真を見つめていた。
写真の中の男は今より若々しく、眼差しは相変わらず深みがあるものの、表情には活気があり、唇の端さえも微かに上がっていた。
そして彼の隣には、沢井恭子が無表情で立っており、不本意そうで、近寄るなという雰囲気を全面に出していた。
背景は海外のある大学の図書館だった。
二人の後ろには留学生や大学生が大勢いたが、二人は並んで立ち、どちらもカメラに集中して目を向けていた。
陽光が横の木々から差し込み、まだらな影が彼らの顔に映り、明暗が交錯して、まるで時空を超えたような錯覚を与えていた。
佐藤大輝はこの写真を見つめ、表情に戸惑いの色が浮かんでいた。
佐藤さんは彼の様子を見て、見たいと思いながらも恐る恐る、佐藤澄夫を押した。
佐藤澄夫は佐藤さんの威圧的な視線の下、仕方なく佐藤大輝の後ろに行き、つま先立ちで首を伸ばして覗き込み、驚いて言った。「兄さん、これ兄さんじゃないですか!」