第52章 顔面打ち！

五十嵐奥さんは彼の頭を撫でながら言った。「時間があっても駄目よ。まだ小さいから、保護者と一緒でないと行けないの」

「じゃあ、パパに頼むよ！」

佐藤和利はそう言うと、すぐに二階の書斎へ佐藤大輝を探しに走っていった。

佐藤大輝は手にした変更書類を見つめ、細長い瞳に光を宿しながら、しばらくしてから彼を見て、躊躇いがちに尋ねた。「お前の母さんは...本当に貧乏なのか？」

そうでなければ、村野がこんなにもお金に執着するはずがない！

海浜市のこのエンターテインメント会社なんて、彼の目には全く入らないものだったが、貰った物は仕方ない。佐藤和利は本当に沢井家に厄介な物を見つけてきたものだ。

佐藤和利は小さな頭を大根を切るように激しく縦に振った。「うん、ママはすごく貧乏なの。毎日働かないで、銀行口座には数億円しかないんだよ」