第116章 最後の一回

白井桜子は近づいて、ドアの隙間から中を覗いてみると……

二人が抱き合っていた……

キスをしていた……

遠くから見ると、白い肌が一面に広がっていた……

部屋が揺れているようで、数万元のオーダーメイドベッドまでが旗を振って応援しているかのようだった……

そしてその二人は、山崎夏枝と、もう一人は彼女がよく知っている山崎武弘だった。

白井桜子は必死に自分の唇を押さえた。

目の前の状況を信じられない様子で見つめ、頭の中が真っ白になり、まるで晴天の霹靂が脳裏に炸裂したかのようだった。

どうして……まさか!

全身が震え、突っ込んでいくべきか、逃げ出して見なかったことにすべきか、一瞬分からなくなった。

山崎夏枝と山崎武弘は血のつながりはないものの、再婚家庭で、法律上は兄妹だった!普段から仲が良かったが、白井桜子はそんな方向に考えたことすらなかった。

部屋の中から、山崎夏枝が突然「お兄さん、ドアが閉まってないわ」と言った。

「この妖精め」山崎武弘は低い声で罵ったが、言葉には愛情が溢れていた。彼は裸のまま立ち上がり、堂々とドアの方へ歩いていき、ドアを閉めようとした時、彼らを恐怖の表情で見つめている白井桜子と目が合った。

目が合った瞬間、白井桜子は思わず後ずさりした。

山崎武弘も明らかに見つかるとは思っていなかったようで、眉を上げ、何か決心したかのように、すぐにドアを開けて白井桜子の腕を掴み、部屋の中に引っ張り込んだ!

白井桜子:!

山崎夏枝も彼女を見たが、ただ唇を歪めて笑っただけで、ベッドに寄りかかった。彼女は山崎武弘がドアを閉めるのを見てから「見られちゃったの?」と言った。

山崎武弘は眉間を揉みながら「大丈夫、俺が何とかする」と言った。

「わかった」

山崎夏枝はそう言うと、布団をめくってバスルームからバスタオルを取って山崎武弘に投げた。彼は体を包んでから、部屋のソファに座り、白井桜子を指差して「座れ」と言った。

「……」

白井桜子はまだ我に返れず、もごもごと「あ、あなたたち……」と言った。

「俺たちはもう長いこと付き合ってる」

山崎夏枝も近づいてきて、山崎武弘の隣に座り、彼の肩に頭を寄せた。「見られちゃったんだから、もう公にしましょう。毎回会うたびに隠れる必要もないし」