第149章 製薬の達人

佐藤大輝は沢井恭子を審査するように見つめた。「あなたたち、よく知り合いなの?」

「そうでもないわ。何度か取引があっただけ」沢井恭子は過去について触れたくなかったが、彼女の態度に佐藤大輝は自分が考えすぎていたと感じた。

もし二人が敵対関係ではなく友好的な関係なら、鷹野隆も彼女にそのような態度を取らなかっただろう。

そして沢井恭子が鷹野隆について話す時、顔に不快感を浮かべていた。どうやらこの人物を嫌っているようだ。

佐藤大輝は注意を促した。「あんな人とは、なるべく関わらない方がいい。さもないと、どんな害を受けるか分からないからね」

「分かってます」沢井恭子はそう言いながら、佐藤大輝の表情を観察した。

彼女は佐藤グループについて調査したことがあった。財力は平均的で、海浜市では一番だが、京都の四大豪門とは比べものにならない。鷹野隆は海外では強い立場にあるが、大和に来れば制約を受けることになる。

言い換えれば、鷹野隆が大和で事業を行う際は、京都の四大家族の顔を立てなければならない。佐藤家が彼らと関係を築き、そのうちの一家から一言あれば、鷹野隆も佐藤家に手出しはできないはずだ。

しかし佐藤大輝は平然としており、不安な様子は見られなかった。それは修養を積んでいるか、すでに対策を立てているかのどちらかだろう。

沢井恭子はもう関わるつもりはなく、彼に頷いて立ち去った。

書斎を出ると、藤原夏美が階段を上がってきたところで、彼女を見かけて足を止めた。

沢井恭子は彼女を眼中に入れず、立ち止まることなく傍らを通り過ぎた。藤原夏美も視線を戻し、書斎に入った。

彼女は敬意を込めて言った。「大輝さん、私の指導教授と先輩たちに連絡を取りました。ちょうど最近大和に来る予定があるので、私たちの製薬工場を見学して意見を出してもらえるよう連絡を取ります。必ず何人かは残ってもらえるように説得します」

彼女は説明を続けた。「私の指導教授は外科手術の分野で素晴らしい業績を上げています。先輩たちも皆エリートで、業界では稀少な人材です。病院が外部講師として招聘できるだけでも大したことなのに、もし彼らが私たちの製薬工場に名を連ねてくれれば、新規事業の発展がさらに加速するはずです」

彼女がそう話している時、山村治郎は警備員の配置を終えて入室してきた。