第155章 治療！

郊外の別荘にて。

鷹野隆はソファに座り、足を組んでいた。

目の前では赤いドレスに金色のマスクをした女性たちが行き来していたが、耳に入る声に一瞬我を忘れそうになった。

まるで6年前、五一八号室と共に戦った日々に戻ったかのように……

思わず体が強張り、目が赤くなりかけたが、すぐに我に返り、笑って言った。「佐藤さんは私のことをよく調べたようですね。あなたの真似は…とてもよく似ています。でも、そのおかげで私はあなたにもっと興味を持ちました。沢井さん、佐藤さんのあなたへの気持ちがどれほど深いのか、見てみたくありませんか？」

「……」

沢井恭子は冷たい目つきで、彼の言葉に反論しなかった。そもそも身分を明かすつもりはなかった。当時は偽装死でその組織から逃れたのだから、今身分が露見すれば周りの人々全てを泥沼に巻き込むことになる。

彼を五一八号室と呼んだのは、コンサートの時に山崎夏枝が彼をそう呼んでいるのを見て、彼がそれを気に入っているように見えたからだ。

そうだ、あの組織は彼に多くの栄光をもたらした。今日の彼があるのは組織のおかげだ。五一八号室という呼び名を誇りに思っているに違いない。

沢井恭子の態度はさらに冷たくなった。「鷹野隆、あなたは勘違いしています。私が彼を好きなだけで、彼は今の私のことを好きではありません。あなたの探りは無意味です。」

佐藤大輝は彼女の隣に立っていた。彼女が「五一八号室」という呼び名を口にした時、全身が凍りついたが、鷹野隆の言葉を聞いて、はっとした。

そうだ、沢井恭子は元々彼女によく似ていた。

だからこそ、あの時薬を飲んで自制を失ってしまったのだ。

だからこそ、鷹野隆もこれほど執着して彼女を手に入れようとしているのだ……

佐藤大輝が考え込んでいる時、彼女のその言葉を聞いて、再び固まってしまった。

彼女が彼を好きだと……

耳が急に赤くなり、佐藤大輝は頬が熱くなるのを感じた。

リビングにはこんなに大勢いるのに、彼女の言葉があまりにも率直すぎる……

佐藤大輝は視線をそらし、突然どこを見ればいいのか分からなくなった。

隣の佐藤さんは意味深な目で佐藤大輝を見た。

佐藤澄夫は好奇心に目を丸くした。