紀代実は沢井千恵たちの一行を見つめていた。
景山誠は小さな椅子に座り、帝王の衣装を身にまとい、威厳に満ちた姿だった。
彼女の視線が一瞬止まった。
こんなにハンサムな白井さんを養っているのに、沢井千恵は本当にお父さんと不倫関係にあるのだろうか?
自分の父親に肩入れしているとはいえ、紀代実も認めざるを得なかった。景山誠のルックスは芸能界でも稀に見るものだった。
そのとき、紀代実の携帯が鳴った。
電話に出ると、向こうは父親の五十嵐正弘だった。「紀代実さん、撮影現場にいるの?」
「うん、津由子の件は解決したから、安心して。」
「そうか。」五十嵐正弘は少し間を置いて、こう続けた。「さっき気づいたんだが、津由子と景山誠が同じ現場にいるんだな。沢井千恵社長も付き添っているのか?」