綺麗で上品な女性が中から出てきて、彼らを見ると、少し驚いた様子で「お客様がいらっしゃったの?」
紀代実は沢井恭子に紹介した。「こちらは温井琴美さん。お父様は温井家の当主で、お母様は……私の大叔母の養女なの。彼女のお母様は私の家で育ち、大叔母の跡取り娘というわけね。琴美さんは浦和音楽学院に合格して、普段はここに住んでいるの」
……少し複雑ね。
沢井恭子は頭の中で関係を整理した。
つまり、この温井琴美の母は、沢井千惠の母、つまり彼女の実の祖母の養女ということ。言い換えれば、温井琴美は祖母の養孫娘?
しかし、紀代実が彼女について話す口調には、不快感が混じっていて、この人をあまり好いていないようだった。
紀代実は温井琴美に沢井恭子を紹介した。「こちらは沢井さんです」
具体的な身分については、まだ知らされていなかった。