第228章 ずっとお前だった

沢井恭子は呆然とした。

空はすでに暗くなり、月が空高く昇っていた。

五十嵐家の別荘の外の道路の両側には長い街路樹が並び、遠くから聞こえる都会の喧騒と車のクラクションの音だけが響いていた。

沢井恭子は一瞬の間、茫然自失となった。

彼女は目の前の背の高い男性を驚きの表情で見つめた。

五二七号室……

もちろん五二七号室のことは覚えていた。当時組織にいた頃、彼女は五一七号室とリーダーの座を争っていたが、実際その時期に組織に加入した人々の中で、五二七号室も非常に才能があった。

しかし彼は争いを避け、まるで時間を潰すためだけに来ているかのようだった……

当時、五二七号室はいつも黒いマスクをつけていて、無口で、まるで身元を明かすことを恐れているかのようだったが、彼女はこの男性から気品のようなものを感じ取ることができた。