「手紙に問題があるの?」
皆が一斉に沢井恭子を見つめた。
沢井円佳は眉をひそめて言った。「恭子、でたらめを言わないで。この手紙は母が亡くなる前に残したものよ。筆跡鑑定もできるし、母は手紙だけでなく、ビデオも残しているのよ。どうして問題があるはずがあるの?」
そう言って、沢井円佳はUSBメモリを取り出し、五十嵐正弘に渡した。
五十嵐正弘は唇を固く結んだ。
彼はUSBメモリを見て、そして沢井千惠を見た。
沢井千惠はこの時、母が自分を認めたくないのかどうかを知りたくて、頷いた。
五十嵐正弘はUSBメモリを五十嵐孝雄に渡し、五十嵐孝雄はそれを見てからパソコンに差し込み、テレビに映像を映した。
すぐにテレビには年老いた女性が映し出された。
白髪の老婦人は慈愛に満ちた表情で、カメラを見つめながらゆっくりと口を開いた: