第319章 治療!

「林院長!」

「院長!」

学生の保護者たちの驚きの声が一斉に上がった。

沢井彩芽も眉をひそめた。

おかしいと思った。今日、林院長の診察をした時、胃の具合は良くなっていたはずなのに、なぜ気を失ったのだろう?

彼女は周りを見回して叫んだ。「みんな下がって!林院長に新鮮な空気を!」

保護者たちがこの幼稚園を好むのは、林院長の存在があるからだ。この時も緊急事態を理解し、みんな後ろに下がり、少なくとも半径2メートルのスペースを空けた。

保護者たちが散開する中、沢井恭子の存在が一層目立つようになった。

林院長が気を失った後、彼女の手を握っていた手もようやく緩んだ。

しかし沢井恭子はその場を離れなかった。

沢井彩芽は彼女を一瞥したが、この人とは関わりたくないと思った。彼女は沢井恭子たちを全く眼中に入れていなかった。ただ急いで林院長の目や鼻を確認し、最後に心臓の位置を押さえた。