第337章 失踪

白井桜子は大きくほっと息をついた。足がふらつくほど力が抜けていくのを感じた。

普段から臆病な性格の彼女が、一度強がってみたものの、相手が去った今、逆に緊張が解けてしまった。

白井桜子の様子がおかしいことに気づいたアシスタントが近寄って慰めた。「大丈夫、大丈夫。もう何も心配ありませんよ。桜子さん、メイクもほぼ終わりましたし、そろそろパフォーマンスの準備をしましょう」

白井桜子は頷いた。

時間が経つにつれて、前半のショーが始まった。白井桜子の出番は11番目で、時間が近づいてきたため、スタッフが彼女を舞台袖での待機に呼びに来た。

白井桜子は立ち上がり、アシスタントが後ろについて行った。

二人が数歩進んだところで、スタッフに止められた。「白井先生、申し訳ありませんが、待機場所が混んでいるため、アシスタントの同行はご遠慮いただきたいのですが...」

白井桜子はアシスタントの方を向いた。「じゃあ、ここで待っていて」

アシスタントは頷いた。

白井桜子はスタッフの後について歩き続けた。

彼女は今日、シルクの白いロングドレスを着ていた。今や細くなった体型をぴったりと包み込み、その美しさを存分に表現していた。

彼女はファンたちに、本当に痩せたことを見せたかった。

彼女は成功したのだ。

白井桜子は深く息を吸い込んだ。今日が自分のチャンスだと分かっていた。

「白井先生、着きました」

スタッフの声とともに我に返った白井桜子は、顔を上げると、舞台袖に連れて行かれていないことに気づいた。彼女は固まり、スタッフを見た。「ここはどこですか?」

スタッフの顔に不気味な笑みが浮かんだ。「白井先生、もちろん、あなたが行くべき場所ですよ!」

そう言い残すと、スタッフは突然ドアを開け、彼女を強く押して部屋の中に突き飛ばした!

白井桜子は目を見開いて、すぐさまドアに駆け寄ったが、カチッという音とともにドアは施錠された!!

振り返ると、ここが使われていない物置部屋だと気づいた。しかも、窓が壊れており、冬の冷たい風が窓から吹き込んでいた!!

白井桜子は完全に呆然とした。彼女はドアに駆け寄り、鉄のドアを激しく叩いた。「出して!誰かいませんか?私はここにいます!」