第337章 失踪

白井桜子は大きくほっと息をついた。足がふらつくほど力が抜けていくのを感じた。

普段から臆病な性格の彼女が、一度強がってみたものの、相手が去った今、逆に緊張が解けてしまった。

白井桜子の様子がおかしいことに気づいたアシスタントが近寄って慰めた。「大丈夫、大丈夫。もう何も心配ありませんよ。桜子さん、メイクもほぼ終わりましたし、そろそろパフォーマンスの準備をしましょう」

白井桜子は頷いた。

時間が経つにつれて、前半のショーが始まった。白井桜子の出番は11番目で、時間が近づいてきたため、スタッフが彼女を舞台袖での待機に呼びに来た。

白井桜子は立ち上がり、アシスタントが後ろについて行った。

二人が数歩進んだところで、スタッフに止められた。「白井先生、申し訳ありませんが、待機場所が混んでいるため、アシスタントの同行はご遠慮いただきたいのですが...」