白井隆司は焦って尋ねた。「一体どの機関なんだ?」
白井奥さんが眉をひそめると、沢井恭子は笑った。「京都には検査機関が3つありますが、全て沢井家の事業です。だからどの機関に行っても、本当の結果は出ないんですよ!」
この言葉に、白井奥さんは拳を握りしめ、疑念が湧き上がった。「それはどういう意味?」
白井奥さんは名家の奥様として、長年の経験から些細な変化にも敏感だった。彼女の心には既に迷いが生じていた。
もしかして彼女の言うことが全て真実なのか?
部屋の中から、沢井彩芽も叫んだ。「沢井恭子、それはどういう意味よ?!おばあさま、彼らの戯言を信じないで!検査機関は規範に従っているわ、偽装なんてあり得ないわ!」
「白井隆司がDNA検査を受けていなければ、私もこんな疑いは持たなかったでしょう」沢井恭子は落ち着いた口調で言った。
確かに白井家に行き、白井家の次男の写真を見て、白井隆司はその人物を確認したのに……
確かに白井桜子は白井隆司の娘で、父娘の相似は7割方あり、偽装なんてあり得ないはずなのに、どうして従兄妹関係ではないという結果が出たのか?
沢井恭子は密かに京都の検査機関の不正を告発し、村上隊長に調査を依頼した。
村上隊長とは誰か?
特殊部門の隊長だ!
犯罪者の取り調べは国内随一の腕前で、ちょっと尋問しただけで、その検査機関の職員から全てを吐き出させた。
沢井恭子は携帯を取り出し、村上隊長が録画した尋問ビデオを開いた。画面には検査機関のメンバーが映っており、その人物はカメラに向かって言った。「はい、沢井彩芽様から、白井家の方がDNA検査に来たら必ず事前に連絡するようにと指示されていました」
この話をしている人物は白井隆司のDNA検査報告書を作成した者だが、白井奥さんは見覚えがなかった。彼女は慎重に言った。「適当な人を見つけて録画したところで、本当かどうかなんてわかりませんわ」
「では、これはどうですか?」
沢井恭子は次の動画を開いた。この人物を、白井奥さんは知っていた!