沢井康正が怒り出すと、沢井中と沢井茂は会社にいても、車を走らせて帰ってきた。
玄関に入るなり、茶碗が飛んできた!
沢井茂は即座に飛び退き、茶碗は沢井中に当たった。
沢井中のスーツはお茶で濡れ、熱さに飛び上がりそうになったが、痛みを我慢して尋ねた。「伯父さん、どうされたんですか?」
沢井茂もすぐに口を開いた。「そうですよ、伯父さん、兄さんが何かしたんですか?こんなにお怒りになるなんて」
沢井中は即座に沢井茂を睨みつけた。
この次男は、いつも責任を彼に押し付けてくる。
沢井康正は目の前の二人の甥を見つめた。
一人は一見愚直そうに見えるが、実は愚鈍で融通が利かない。
もう一人は表面上は笑顔を見せる狐のようで腹黒く、実は策略に長けている。
沢井家の現世代は、この二人だけだった。