第371章 見誤ったか?

沢井康正が怒り出すと、沢井中と沢井茂は会社にいても、車を走らせて帰ってきた。

玄関に入るなり、茶碗が飛んできた!

沢井茂は即座に飛び退き、茶碗は沢井中に当たった。

沢井中のスーツはお茶で濡れ、熱さに飛び上がりそうになったが、痛みを我慢して尋ねた。「伯父さん、どうされたんですか?」

沢井茂もすぐに口を開いた。「そうですよ、伯父さん、兄さんが何かしたんですか?こんなにお怒りになるなんて」

沢井中は即座に沢井茂を睨みつけた。

この次男は、いつも責任を彼に押し付けてくる。

沢井康正は目の前の二人の甥を見つめた。

一人は一見愚直そうに見えるが、実は愚鈍で融通が利かない。

もう一人は表面上は笑顔を見せる狐のようで腹黒く、実は策略に長けている。

沢井家の現世代は、この二人だけだった。

沢井康正は長男で、生涯独身を通し、弟は一人で、その弟にもこの二人の子供しかいなかった。

これも沢井中の実力が不足しているにもかかわらず、沢井康正が彼の後継者の地位を剥奪しなかった理由だった。沢井茂を使って沢井中を刺激し、より賢くなることを期待していた。

あるいは最後の手段として、沢井茂を選ぶつもりだった。

しかし今、この兄弟が目の前に立っている姿を見て、沢井康正は強い挫折感を覚えた。

沢井家は清廉潔白な家風で知られているのに、どうしてこんな後継者を育ててしまったのか?

沢井彩芽は白井家で騒動を起こし、偽の「叔父」という話まで大胆にも作り出した。

この兄弟も心が狭く、目先の利益しか見えず、国や民のための志など微塵もない。

もし彼らに少しでも国や民のために尽くす気持ちがあれば、佐藤グループを見捨てるようなことはせず、あんな公式声明も出さなかったはずだ!

沢井康正は彼らを見つめ、口を開いた。「お前たちは知らないのか?私がずっと遺伝子欠陥薬剤P+の研究開発に力を入れ、医学部でこのプロジェクトがある大学には全て投資してきたことを」

沢井中と沢井茂は目を合わせた。二人ももちろん知っていた。

老人に呼び戻される途中で、何が起きたのかすでに把握していた。