第386章 計略に乗る

沢井康正はすぐに老眼鏡をかけ、執事から資料を受け取り、まず景山誠の写真に目を落とした。

笑うでもなく笑わないでもない桃花のような瞳は、ネットから適当に見つけた写真でさえも、魅力的な雰囲気を醸し出していた。

唇の端も少し上がっており、どこか邪気な感じを漂わせていた。

その正邪両面を持つ美しい容貌は、印刷された写真でさえも紙面から躍り出てくるようだった。

沢井恭子は彼と六、七分ほどの似通いがあるが、雰囲気は異なり、より冷たさが目立つ。それでも国を傾けるほどの美しさだった。

そして景山誠本人は、その顔で生きてきた男で、四十代後半の年齢でありながら、少しも老けて見えず、むしろ成熟さが増し、沢井恭子よりも一層深みのある魅力を放っていた。

正直に言えば、沢井康正が見た中で最も美しい人物だった。