第386章 計略に乗る

沢井康正はすぐに老眼鏡をかけ、執事から資料を受け取り、まず景山誠の写真に目を落とした。

笑うでもなく笑わないでもない桃花のような瞳は、ネットから適当に見つけた写真でさえも、魅力的な雰囲気を醸し出していた。

唇の端も少し上がっており、どこか邪気な感じを漂わせていた。

その正邪両面を持つ美しい容貌は、印刷された写真でさえも紙面から躍り出てくるようだった。

沢井恭子は彼と六、七分ほどの似通いがあるが、雰囲気は異なり、より冷たさが目立つ。それでも国を傾けるほどの美しさだった。

そして景山誠本人は、その顔で生きてきた男で、四十代後半の年齢でありながら、少しも老けて見えず、むしろ成熟さが増し、沢井恭子よりも一層深みのある魅力を放っていた。

正直に言えば、沢井康正が見た中で最も美しい人物だった。

娘が彼を婿養子として迎え入れたのも無理はない……

沢井康正はその美男子の顔立ちをさらに細かく観察し、あの大物によく似ていると感じたが、よく見ると似ていないようにも思えた……

そういえば、当時四大財閥はあの大物の言うことを絶対的な指針としていたが、実際にあの大物と接触が多かったのは白井剛志という老人だった。

彼らは皆、遠くからあの人物を見かけただけだった。

銀のマスクをつけ、覗く桃花のような瞳は底知れず、人々を畏怖させたことだけは覚えている。

残念ながら、その人物は二十数年前に突然姿を消し、もう誰も見つけることができなくなった。白井老人だけが行方を知っているようだった。

この景山誠は目が綺麗ではあるが、どこか純粋な愚かさが透けて見える。あの大物であるはずがない。

沢井康正は心の中でちょっとがっかりし、写真を脇に投げ捨てた。「イケメン野郎!」

執事は思わず彼を擁護した。「イケメンとはいえ、最高級のイケメンですよ。」

沢井康正はすぐに言った。「……それはそうだ。でなければ、あんなに美しい橘さんを生むことはできなかっただろうね。」

執事:?

橘さん?

何か言おうとした時、沢井康正の表情が突然変化した。

執事はすぐに前に出て、彼を支えた。

執事が何か言おうとすると、沢井康正は首を振った。「橘さんには言わないでくれ。」

彼の体はもう油尽きたランプのような状態だった。

今となっては、伝説の景山神医以外に彼の寿命を延ばす方法はなかった。