第388章 身分と地位

山村治郎は呆然としていた。

彼は信じられない様子で沢井恭子を見つめた。

橘様は冗談を言っているのだろうか？

彼が考えを巡らせていると、佐藤大輝は何かを悟ったかのように、山村治郎に言った。「ああ、彼らが提供してくれたものだ。我が佐藤グループには十分な余裕がある。受け取ればいい」

山村治郎は一瞬呆然として、何か聞きたそうにしたが、佐藤大輝は沢井恭子の方を向いて「続ける？」と尋ねた。

「続けましょう」

沢井恭子は彼を軽く見やり、二人は公園に戻って練習を続けた。

沢井恭子が太極拳を一通り終え、佐藤大輝もジョギングを終えて、二人が階段を上がっているとき、山村治郎が再び近寄ってきた。「橘様、さっきの話は冗談ですよね？」

沢井恭子は「……何の話？」と答えた。

彼女が全く気にしていない様子を見て、山村治郎は胸をなでおろした。「やっぱり、冗談だと思いました。会社の噂を聞いたんですよね？」

沢井恭子：？

彼女が考えている間に、山村治郎は義憤に駆られて言った。「あの人たちの言うことを気にしないでください。状況を知らないから言っているんです。もし彼らが橘様が景山神医だと知っていたら、絶対にそんなことは言わないはずです！」

沢井恭子：？？

彼女はゆっくりと尋ねた。「私のことを何と言っているの？」

「白井家のお嬢様である二夫人は佐藤家に多くの利益をもたらし、白井家は二夫人のおかげで佐藤家と親密になったと言っています。一方であなたは出自が良くないと。バカな奴らです。白井家が何軒あっても、P+の処方は作れません。あなたがいなければ、佐藤グループが今日のような成功を収めることはできなかったはずです」

山村治郎は延々と話し続けた。「あなたが控えめで、自慢したがらないだけです。私なら、とっくに正体を明かして、佐藤グループが医薬品業界に参入してから出した重要な処方箋は全部あなたのものだと、みんなに知らしめていますよ。そうすれば、もう何も言えないでしょう！」

沢井恭子は「……」

人に何か言われたところで、肉が落ちるわけでもない。

沢井恭子はこれらのことを全く気にしていなかった。

彼女は手を振って、部屋に入った。

山村治郎がまだついて来ようとすると、沢井恭子は足を止めて「お風呂に入るけど、あなたも入る？」と言った。