授賞式は夜に開催され、開始時間は6時だった。
沢井恭子は寝室で、携帯の時間を見下ろした。午後4時だった。
5時に出発すれば間に合うし、あと1時間怠けていられる。
そう思っていると、ドアがノックされた。
沢井恭子は面倒くさそうに言った。「どうぞ」
寝室のドアが開き、佐藤大輝と佐藤千文がドアの外に立っていた。
佐藤千文はすぐに少女を見つけた。
彼女は3人の子供の母親には全く見えず、大学生と言っても少しも違和感がなかった。今の沢井恭子はバルコニーの竹製のデッキチェアに座り、本を手に持って夢中で読んでいた。
隣のティーテーブルには急須があり、透明なガラスのティーポットには赤と黒のクコの実が浮かんでいた。その様子は言うまでもなく快適そのものだった!
佐藤千文は突然、自分が彼女を誤解していたのではないかと思った。