第128章 暴かれた身の上(1)

江口沙央梨が質問している間、原詩織はクラス全員が自分を見ているように感じた。

それで原詩織はますます口を開くのが難しくなった。

しばらく躊躇した後、原詩織は江口沙央梨に言った。「沙央梨さん、今ちょっと気分が悪いので、保健室に行ってきたいんです。」

原詩織は質問を避け、すぐに教室の外へ向かって歩き出した。

彼女には認めることも否定することもできず、とりあえず言い訳をして離れるしかなかった。

教室を出た原詩織は、頭の中が混乱していた。

ちょうどそのとき、メッセージを見た秋田緑が原詩織を探しに来た。

「詩織、大丈夫?掲示板の件はどういう状況なの?」秋田緑は切迫した表情で尋ねた。

原詩織は首を振り、落ち込んだ様子で、この件についてどう話せばいいのか分からなかった。

「まあ、とりあえず場所を変えて話そう。」

学校の廊下は話をする場所ではない。

秋田緑は原詩織を保健室へ連れて行った。そうすれば、先生に見つかっても説明がつきやすい。

保健室の休憩室に着くと、秋田緑は原詩織に先ほどの話を続けるよう促した。

「詩織、一体どうなってるの?何か困ったことがあったの?」

原詩織は俯いたまま、秋田緑の問いかける目を直視せず、しばらくしてから頷いて認めた。

「あの人は、本当に私の父親みたい。」

「みたい?」

「私がまだ小さい頃、他の女性と逃げてしまって、もう十数年会っていないの。」

原詩織の言葉は、秋田緑の記憶を呼び覚ました。

原詩織の境遇は秋田緑と似ていた。

二人とも一人親家庭だった。

家庭の不幸は、どちらも父親の不倫が原因だった。

唯一の違いは、原詩織はその後母親と暮らすことになり、秋田緑は父親と暮らすことになったことだ。

原詩織の悲しそうな表情を見て、秋田緑は珍しく優しい態度を見せた。

彼女は手を伸ばして原詩織の肩を叩いた。「落ち込まないで。あなたの気持ち、分かるわ。父親がクズなのは私たちには選べなかったことだし、全部あいつらのような屑のせいよ!」

原詩織は頷いた。「この件で私を見下さないでいてくれて、ありがとう。」

「何言ってるの?こんなことで私があなたを見下すわけないでしょ。私、秋田緑がそんな人間に見える?あなたは私の親友だって言ったでしょ。親友同士、こんなことで互いを嫌ったりしないわよ!」