佐藤おばあさんは状況を見て無言で溜息をつき、これほど長い年月が経っても、明人は相変わらず和音のことを好きになれないのだと思った。
佐藤おばあさんには、子供の頃の佐藤明人と佐藤和音は「相性が悪い」タイプだったという記憶がある。
なぜかわからないが、佐藤和音は佐藤明人の前ではいつも泣いていた。
佐藤明人も佐藤和音を避けるのに必死だった。
二人は特に揉め事を起こしたわけでもなく、ただ合わないだけで、おばあさんは「相性が悪い」以外の説明が思いつかなかった。
今では二人とも大人になったのに、会えば相変わらず合わない。
明人ったら、妹のことが好きじゃないにしても、妹の子供の頃の事を持ち出して恥をかかせることはないでしょう。おりこは今や大人の女性なのだから、面子もあるのよ!
佐藤おばあさんの責めるような眼差しを受け、佐藤明人は自分が何を言い間違えたのかわからなかった。