第138章 和音が病気(2)

「どうして熱が下がらないの?」

佐藤明人は時々佐藤和音の額に手を当てて確認していた。点滴はもう半分以上使っているのに、まだこんなに熱が高いままだった。

お婆様も心配していたが、焦っても仕方がない。薬を投与しても、すぐには効果が出ないものだ。解熱には時間がかかる。

佐藤和音は体が重く感じ、うつらうつらと悪夢を見ていた。

夢の中で彼女は以前の佐藤和音で、重病で病院のベッドに横たわっていた。携帯の連絡先を開いても、連絡できる人は誰一人としていなかった。

夢の中の彼女は自分が死にかけていることを知っていたが、最期の言葉を誰に伝えればいいのかわからなかった。

ぼんやりと佐藤和音は目を覚まし、夢の中と同じような病室が目に入った。

「目が覚めた?」

傍らにいた佐藤明人の声が和音の思考を中断させた。

佐藤和音は彼の方を向いた。

佐藤明人はまだパジャマ姿のまま、心配そうな表情で彼女を見つめていた。

病室のソファーにいたお婆様も立ち上がった。

「おりこ、大丈夫?」

お婆様が近寄ってきた。

佐藤和音は自分が病気になったことを思い出した。

この体は抵抗力が弱いことを忘れていた。こんなに無理をしてはいけなかったのだ。

「大丈夫です」

佐藤和音は口を開いた。いつもより弱々しい声で、言葉を発するのも困難だった。

「何が大丈夫なの、明らかに具合が悪いじゃない!」お婆様は心配で胸が痛くなった。「お医者様が言うには、しばらく熱が出ていたから意識がもうろうとしていたのよ。夜中に具合が悪くなって、一人で我慢していたんでしょう?」

お婆様の推測は当たっていた。佐藤和音は昨夜一時近くまで仕事をしていて、体調の悪さを感じていた。

家族を心配させたくなくて、そのまま寝てしまった。

佐藤和音が答えないので、お婆様は自分の推測が正しかったことを悟った。

ベッドに横たわる小さな体を見て、お婆様は涙ぐんでしまった。「もう、困ったわね!具合が悪くなったら言いなさい!私はまだまだ若いのよ!夜中に起こされたって平気よ!見なさい、熱が長引いて胃腸炎まで起こしてしまって!もう、おかゆしか食べさせないわよ!美味しいものは全部禁止!」