「なんてこと!佐藤和音が本当に一位なの?成績の記録に間違いはない!まさか、世界はどうなってしまったの?落ちこぼれが逆転したんだ!」
「落ちこぼれの私から言わせてもらうと、今日から佐藤和音は私の憧れの人になった!やる気が出てきた!目標ができた!わんわん~」
「一つ聞きたいんだけど、証拠もなしに佐藤和音がカンニングしたって言ってた人たち、顔が痛くないの?」
顔が痛いのは間違いない。痛すぎて今は意見を述べる気にもならないだろう。
ほとんどの学生の議論は佐藤和音の急激な進歩についてだった。
でも、気分を害している学生もいた。
大井心は珍しく勇気を出して、声を持って奥村茂の席に向かった:
「ほら見て、ヨーリー化学材料研究機構の人たちまで声明を出したのよ。試験結果に問題はなくて、和音の成績は妥当だって。まだ何か言うことある?」
奥村茂に二度も腹を立てさせられた大井心は、ようやく晴れ晴れした気分になれた。
奥村茂はまだ納得していない様子で:「声明を出したからって何なの?一部の公式声明は、君たちみたいな思考能力のない人をなだめるためのものだよ」
「誰が思考能力がないって言うの?」大井心は怒って足を踏んだ。
「別に誰とは言ってないよ。自分で理解すればいい」
「間違ってるのに認めないなんて!」大井心は目を見開いたが、声が小さく、迫力が弱くて、威圧感がなかった。
「それでも、バックグラウンドを利用して、ネガティブな情報を押さえ込む人たちよりはマシでしょう?」奥村茂は遠回しに非難した。
「また何を言い出すの?!」
「僕は適当なことを言ってないよ。誰のことも、何の事も具体的には言ってないでしょう」
奥村茂は、どうしようもないという表情を浮かべた。
言い負かせない相手に、大井心はまた怒りながら戻っていった。
奥村茂はいつもこんなことを言って、彼女は何と言い返していいか分からなくなるのだった。
本当に嫌になっちゃう。
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原詩織は主催機構が発表した公式声明を見て、最後の希望も消え去った。
主催機構が佐藤和音はカンニングをしていないと言うことは、受賞者リストに変更がないということ。彼女は依然として11位で、賞金がもらえる10位まであと一歩及ばなかった……