第191章 原詩織の希望が潰える

「なんてこと!佐藤和音が本当に一位なの?成績の記録に間違いはない!まさか、世界はどうなってしまったの?落ちこぼれが逆転したんだ!」

「落ちこぼれの私から言わせてもらうと、今日から佐藤和音は私の憧れの人になった!やる気が出てきた!目標ができた!わんわん~」

「一つ聞きたいんだけど、証拠もなしに佐藤和音がカンニングしたって言ってた人たち、顔が痛くないの?」

顔が痛いのは間違いない。痛すぎて今は意見を述べる気にもならないだろう。

ほとんどの学生の議論は佐藤和音の急激な進歩についてだった。

でも、気分を害している学生もいた。

大井心は珍しく勇気を出して、声を持って奥村茂の席に向かった:

「ほら見て、ヨーリー化学材料研究機構の人たちまで声明を出したのよ。試験結果に問題はなくて、和音の成績は妥当だって。まだ何か言うことある?」

奥村茂に二度も腹を立てさせられた大井心は、ようやく晴れ晴れした気分になれた。

奥村茂はまだ納得していない様子で:「声明を出したからって何なの?一部の公式声明は、君たちみたいな思考能力のない人をなだめるためのものだよ」

「誰が思考能力がないって言うの?」大井心は怒って足を踏んだ。

「別に誰とは言ってないよ。自分で理解すればいい」

「間違ってるのに認めないなんて!」大井心は目を見開いたが、声が小さく、迫力が弱くて、威圧感がなかった。

「それでも、バックグラウンドを利用して、ネガティブな情報を押さえ込む人たちよりはマシでしょう?」奥村茂は遠回しに非難した。

「また何を言い出すの?!」

「僕は適当なことを言ってないよ。誰のことも、何の事も具体的には言ってないでしょう」

奥村茂は、どうしようもないという表情を浮かべた。

言い負かせない相手に、大井心はまた怒りながら戻っていった。

奥村茂はいつもこんなことを言って、彼女は何と言い返していいか分からなくなるのだった。

本当に嫌になっちゃう。

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原詩織は主催機構が発表した公式声明を見て、最後の希望も消え去った。

主催機構が佐藤和音はカンニングをしていないと言うことは、受賞者リストに変更がないということ。彼女は依然として11位で、賞金がもらえる10位まであと一歩及ばなかった……