「よく言えたものね!自分の実力がどれほどのものか分かってないの?人と争うなんて!自分の実力がどれほどだと思ってるの?もし実力があるなら、全科目落第なんてしないでしょう!」
秋田俊明は秋田緑を見て、娘が生まれた時に胎盤を残してしまったのではないかと疑わずにはいられなかった!
「成績の話はやめてよ!佐藤和音だって落第ばかりじゃない?なんで私のことばかり言うの!」
「はいはい、まだ強情を張るつもり?いいわ、もうすぐ秋次おじいさんが来るから、その時にまだ強情が張れるかどうか見ものね!言っておくけど、死にたければ一人で勝手にどうぞ、私を巻き込まないでよ!」
噂をすれば影というように、菊地秋次が来た。
同時に佐藤和音も一緒に来ていた。
秋田俊明は菊地秋次を見るなり、すぐに笑顔を作って:
「秋次おじいさん、この不肖の娘が言うことを聞かなくて申し訳ありません。お怒りでしたら、私がこの子をお送りしますので、わざわざお越しいただかなくても…」
菊地秋次は彼を無視し、そのまま通り過ぎて秋田緑の方へ向かった。
この状況を見て、部屋にいた四人は焦りを隠せなかった。
これが秋田緑にとって、菊地秋次との本当の意味での初対面だった。
彼女は、このお方が噂通りの超絶的な容姿の持ち主だとは思っていなかった。
そして同様に、世間を舐めたような傲慢な態度も持ち合わせていた。
秋田緑も東京から来たこの秋次おじいさんに会うことを期待していた。
しかし、彼らの出会いがこのような場面になるとは思ってもみなかった。
菊地秋次は横のソファに座っただけで、何も言わなかった。
彼がそこに座っているだけで、十分な威圧感があった。
「秋、秋次おじいさん…」秋田緑は何故か、菊地秋次を見ているだけで心が震えた。
菊地秋次は相手にせず、ただそこに座って、秋田緑と彼女の二人の取り巻きを意味ありげに見つめていた。
佐藤和音は真っすぐに秋田緑の方へ歩いていった。
「佐藤和音、何をするつもり?」
秋田緑は本来佐藤和音を恐れていなかったが、今日の佐藤和音は菊地秋次と一緒に来ているので、状況が違った。
秋田緑の心は憤懣やるかたなかった。
佐藤和音はいったいどうやって秋次おじいさんと繋がりを持ったのか、なんで秋次おじいさんが彼女の後ろ盾になってくれるのか!