第250章 和音に会いたい

佐藤直樹の震える声を聞いて、佐藤正志は彼が真実の動画を見て、事の真相を知ったことを悟った。

「決心はついたか?」

この一件は佐藤直樹にとって大きなショックに違いない。

彼は心の準備だけでなく、佐藤和音に会う時に直面するであろうさまざまな状況に対しても準備をしなければならなかった。

「決心はついた。」

「夜に本邸に連れて行く。」

佐藤直樹の外出はリハビリに影響しない。

外出したければいつでも出かけられる。

その夜、佐藤賢治、岡本治美、佐藤正志は佐藤直樹を連れて、四人で佐藤家本邸に集まった。

しかし佐藤おばあさんから聞いたところによると、佐藤和音は今日、佐藤隼人と上杉望たちと出かけているとのことだった。

さらに詳しく尋ねてみると、今日はジュピターの大阪市でのコンサートの日で、佐藤和音たちはジュピターのコンサートを見に行ったことが分かった。

佐藤おばあさんは、佐藤和音は今夜は深夜にならないと帰ってこないだろうと言った。

この話を聞いて、家族四人の表情は落ち込んだ。

特に佐藤直樹は、入室してから頭を半分下げたまま、佐藤おばあさんの顔を見る勇気もなかった。

佐藤賢治は眉をひそめ、娘がこんな遅くまで外にいるのはどうかと言いたかった。

しかし、言葉が口まで出かかったものの、飲み込まざるを得なかった。

なぜなら、そんなことを言えば必ず佐藤おばあさんに反論され、しかも反論の余地すら残されないことは明らかだったからだ。

今の彼らには、娘のことに口を出す資格など全くなかった。

佐藤おばあさんが承諾したことに対して、彼らは一言も異議を唱えることはできなかった。

佐藤正志は携帯を取り出して電話をかけ、ジュピターのチケットを買ってもらおうとした。

すると佐藤おばあさんがゆっくりと口を開いた:「無駄よ。おりこたちが持っているのは明人からもらった関係者席のチケットなの。あなたがチケットを買っても、彼らと一緒になることはできないわ。会えないわよ。」

佐藤おばあさんは孫の計画をつぶすのに遠慮は全くなかった。

佐藤正志はそれでもチケットを買ってもらった。

そして佐藤おばあさんへの返答は:「明人のパフォーマンスも見てみたいんです。」