ネットでのニュースは広がりが早く、公式ブログの発表後、栄光高校の多くの生徒たちがそのことを知った。
多くの人々が制作チームの公式ブログをフォローしていたため、公式声明が出るとすぐに、多くの人のスマートフォンに通知が届いた。
江口沙央梨がまだ熱心に原詩織と話している最中、周りの生徒たちは既に原詩織が制作チームから降板されたというニュースを受け取っていた。
原詩織自身のスマートフォンも通知音を鳴らし、プッシュ通知の内容を見た瞬間、原詩織の体は凍りついた。
一方、江口沙央梨はまだ事情を知らず、原詩織への羨望と崇拝の気持ちを延々と語り続けていた:
「詩織、今回のドラマが大ヒットしたら、あなたもブレイクするんじゃない?前の時代劇ウェブドラマみたいに、主役も脇役も一気に有名になったじゃない。」
江口沙央梨がこう話す時、その口調には羨望と嫉妬が満ちていたが、今の原詩織の耳には耐え難い音として響いていた。
江口沙央梨はまだ状況の変化に気付いておらず、周りの生徒たちが彼女たちを盗み見ているのに気付くと、内心では少し優越感に浸っていた。
彼女は佐藤和音が人に見下されて挫折する姿を見るのが好きで、みんなに佐藤和音が何も特別なお嬢様ではないことを知ってもらいたかった。
「もう言わないで。」原詩織は江口沙央梨の言葉を遮り、声の最後が少し震えていた。
「どうしたの?」江口沙央梨は不思議そうだった。
原詩織は突然立ち上がり、スマートフォンを持って食堂の外に出た。
躊躇いながら、彼女は少し震える指で発信ボタンを押した。
電話は金山若夫人にかけたものだった。
電話が繋がるとすぐに、金山若夫人から原詩織に役の交代について話し始めた:
「詩織、申し訳ないけど、あなたが先日オーディションを受けた役、制作チームが人を変えることになったそうよ。」
電話越しに、金山若夫人は申し訳なさそうな口調で話した。
この件について彼女も今しがた知ったばかりだった。
原詩織に電話をしようか迷っているところに、原詩織から電話がかかってきたのだ。
きっと彼女もこのニュースを知って電話してきたのだろう。
「夫人、どうして制作チームは突然私を降板させようと思ったんですか?」
原詩織は必死に自分の声を抑制していた。さもなければ、自分の感情が多く漏れ出てしまうところだった。