第342章 姉御と呼べ

配信中のプラットフォームで、次々とコメントが流れていった:

【急に佐藤和音がちょっと可哀想に思えてきた。】

【彼女、泣かされちゃうんじゃない?】

【自分で受けた勝負、這いつくばってでも最後までやり遂げるしかない。】

【安田洋平神すげえ666】

みんながコメントを送っている最中、突然ゲーム画面に佐藤和音のメッセージが表示され始めた。

【プレイヤー「単位落とさないことだけが願い」がM416ライフルで虫族をヘッドショットで倒し、60ポイントを獲得。】

【プレイヤー「単位落とさないことだけが願い」が爆弾で虫族を3体倒し、トリプルキルを達成、420ポイントを獲得。】

同時に複数の虫族を倒すと、一体ずつ倒すよりもポイントが高くなる。

しかし、一度に複数の虫族を倒すのは、一体ずつ倒すよりもはるかに難しく、普通の人にはなかなかできない。

コメントが一瞬止まった。

しばらくして、画面いっぱいに疑問符のコメントが一斉に流れ始めた。

疑問符で配信画面が隙間なく埋め尽くされた。

佐藤和音のこの操作は何なんだ?

代理プレイヤーでもいるのか?

いや、違う!試合の公平性を確保するため、佐藤和音と安田洋平は両方とも携帯で自分たちを撮影しており、別の配信ルームで二人の操作画面が見られるようになっている。

「単位落とさないことだけが願い」というアカウントを操作しているのは、間違いなく佐藤和音本人だ!

視聴者たちは目を見張りながら、佐藤和音のスコアが「どんどん」上昇し、安田洋平の【暇なら俺に構うな】を大きく引き離していくのを見ていた。

こんなことがあり得るのか?

安田洋平はこの地区でランク3位なのに!

どうして彼を圧倒する人がいるんだ?

コメントの様子が一変し、みんなが信じられないと叫び始めた。

最も困惑していたのは安田洋平自身だった。

最初は楽々と勝てる試合だと思っていた。

しかし今や、彼のスコアは佐藤和音に倍近く引き離されている!

これは彼がゲームで活躍してきた長年の中で初めての出来事だった!

しかも、彼を完全に圧倒した相手が佐藤和音だなんて!高校1年生の、風が吹けば倒れそうな小さな女の子なのに!

安田洋平の後ろに立っている数人の取り巻きたちは、今や息をするのも怖がっていた。