第055章:やり過ぎるな

午後は試験科目が多かったため、生徒たちが試験を終えた頃には日が暮れていた。多くの生徒は試験を終えると、霜に打たれた茄子のように疲れ果てていた。

「ああ、化学の試験が難しすぎた。今回は下位5クラスに落ちそうだ……」

「今までの月例テストは2日に分かれていたのに、今回は1日に詰め込まれて、頭が爆発しそうだよ。」

「そうだよね。午前中はまだ調子良かったけど、午後は頭の中がグチャグチャで、貞観の治も忘れちゃった。」

みんなが不満を漏らし、明らかに大半の生徒が実力を発揮できなかったようだった。

校門の前で、馬場絵里菜は出てくるとすぐに林駆たちの姿を見つけた。高橋桃もすでに早めに出てきていた。

「絵里菜ちゃん!」高橋桃は彼女に向かって手を振り、興奮した表情を見せた。

馬場絵里菜が目を上げると、数人の後ろに黒いリンカーンリムジンが停まっており、黒いスーツを着た運転手が無表情で車のドアの前に立っているのが見えた。