「本当に女王だわ!」
「彼の勝ちみたいね!」
「こんな良い手なのに、なぜ自ら止めたの?もっと勝てたのに!」
「そうね、もったいない!」
全員が興奮した表情を浮かべ、中には惜しむような顔をする者もいた。まるでその女王の手札が自分のものであるかのように。
女王だけでなく、女王の中でも最強のエースが3枚だった。
しかし、驚きの声が上がる中、馬場絵里菜は終始無表情のままだった。
この反応に、周りの人々は彼女が呆然としているのだと思った。
井上裕人は馬場絵里菜を見つめながら言った。「エース3枚は、血戦到底で2番目に強い手だ。勝ちたいなら、3枚のジョーカーを揃えた鬼王しかない。でも1デッキにジョーカーは4枚しかなく、そのうち1枚は俺の手にある。残り3枚全部を手に入れるなんて、ほぼ不可能だ」
「ふふ……」
井上裕人の言葉が終わるや否や、賭け台から軽い笑い声が聞こえた。
笑ったのは馬場絵里菜ではなく、彼女の隣に座る日本人だった。
2回目のベット時に、日本人は馬場絵里菜の手札を見ていた。つまり、今この賭け台で、馬場絵里菜以外で彼女の手札を知っているのは彼だけだった。
今、彼は馬場絵里菜以外で唯一、勝負の結果を知っている人物だった!
馬場絵里菜は日本人のすぐ隣に座っていたため、彼の笑い声をはっきりと聞いていた。そこで少し顔を向け、優しく微笑んでから、ゆっくりと視線を井上裕人に戻し、口元を緩めながら言った。「夢は持つべきよ。もしかしたら、奇跡が起きるかもしれないでしょう?」
言い終わると、周りの反応を待たずに、3枚のカードを一度に表にした。
その場にいた全員が一斉に目を凝らして見た!
がくっ……
一瞬にして、全員がその場で固まり、馬場絵里菜が見せた手札を目を見開いて見つめ、口を半開きにしたまま、まるで急所を突かれたかのような表情を浮かべた。
ジョーカー3枚、血戦到底最強の手札、鬼王!
「き...鬼王?」
しばらくして、ようやく誰かが我に返り、まばたきをしながら信じられない表情を浮かべた。
「鬼王だ!」
「初めて鬼王を見た!」
「なんという運なんだ?4枚のジョーカーのうち1枚は他人が持っているのに、残りの3枚全部を手に入れるなんて?」
「だから最初から最後まで隙がなかったんだ。最強の手札を持っていたんだから!」