第260章:考えすぎよ

鈴木夕は中庭を出たが、姑の家には行かず、荷物を持って自分の家に直接帰った。

家では、細田繁がソファーに寄りかかって足を組み、煙草を吸っていた。ドアの開く音を聞くと、急いで立ち上がって窓際に行き、煙草の吸い殻を外に投げ捨てた。

鈴木夕は以前から家の中での喫煙を禁止するルールを設けていた。

ドアが開き、鈴木夕は家に入るなり眉をひそめ、細田繁を見て言った。「また家の中で煙草を吸ったでしょう?」

細田繁は慌てて首を振った。「いや、さっき向かいの鈴木さんが遊びに来てて、彼が吸ってたんだ。遠慮してもらうわけにもいかなかったしさ。」

そう言いながら、細田繁は鈴木夕が持っている荷物に目を向け、思わず驚いた。「お姉さん、また留守だったの?」

鈴木夕はいらだたしげにため息をつき、渋い顔で頷いた。「お姉さんは留守だったけど、絵里菜はいたわ。」

そう言って、手に持っていた荷物を居間のテーブルの上に置いた。

「じゃあ...」細田繁は二つの袋を見ながら、不思議そうに尋ねた。「なんで荷物を持って帰ってきたの?」

「フルーツの袋一つと焼きアヒル一匹は置いてきたのよ!」鈴木夕は言いながら、さらにつぶやいた。「私、考え違いをしていたのかもしれない。」

「え?」細田繁は少し困惑した様子で、眉をひそめながら鈴木夕の側に寄った。「何を考え違いしてたの?」

鈴木夕は帰り道ずっと考えていたことで、今はますます以前の考えが間違っていたと感じていた。

表情を固くし、彼女は細田繁を見上げて言った。「知ってる?絵里菜が一人で食事してたんだけど、お粥と漬物だけだったの。朝じゃないのに、夜ご飯にこんなものを食べるなんて変じゃない?」

細田繁はそれを聞いて笑った。「考えすぎだよ。夜にお粥を食べちゃいけないなんてルールがあるわけじゃないし、それに、姉さんは絵里菜のことを一番可愛がってるんだから、虐待なんてするはずないよ。間違ってたんじゃなくて、考えすぎなんだよ!」

「そう?」鈴木夕は心の中で疑問に思ったが、馬場絵里菜自身も胃の調子が悪いと言っていたことを思い出し、今の細田繁の言葉を聞いて頷いた。「じゃあ、本当に私が考えすぎだったのかもしれないわね。」

そう言ってまたため息をついた。「はぁ、二回も行ったのにお姉さんに会えなかったわ。休みの日に昼間行かないとダメみたいね。」