鈴木夕は中庭を出たが、姑の家には行かず、荷物を持って自分の家に直接帰った。
家では、細田繁がソファーに寄りかかって足を組み、煙草を吸っていた。ドアの開く音を聞くと、急いで立ち上がって窓際に行き、煙草の吸い殻を外に投げ捨てた。
鈴木夕は以前から家の中での喫煙を禁止するルールを設けていた。
ドアが開き、鈴木夕は家に入るなり眉をひそめ、細田繁を見て言った。「また家の中で煙草を吸ったでしょう?」
細田繁は慌てて首を振った。「いや、さっき向かいの鈴木さんが遊びに来てて、彼が吸ってたんだ。遠慮してもらうわけにもいかなかったしさ。」
そう言いながら、細田繁は鈴木夕が持っている荷物に目を向け、思わず驚いた。「お姉さん、また留守だったの?」
鈴木夕はいらだたしげにため息をつき、渋い顔で頷いた。「お姉さんは留守だったけど、絵里菜はいたわ。」