第270章:泥にもならないダメ人間

彼らの話を聞きたくなかった伊藤春は、話題が終わるのを待ってからお茶を持って出てきた。

顔には相変わらず笑みを浮かべていたが、少し誠意が欠けていた。

声をかけた。「さあ、お茶をどうぞ。」

「ありがとうございます、お姉さん。」細田繁は急いで立ち上がり、伊藤春の手から茶器を受け取り、そして言った。「お姉さん、もう気を遣わないでください。私たちはすぐに帰りますから。」

伊藤春は頷いて、細田仲男の隣に座った。

鈴木夕はお茶を手に取ったが、飲まずに唇を少し噛んでから、細田仲男を見て話し始めた。「お兄さん、実はこうなんです。今日私と繁が来たのは、一つはお兄さんとお姉さんに会いに来たことと、もう一つは、相談したいことがあってなんです。」

細田仲男はそれを聞いて眉を上げ、心道やはり何か用があって来たのだと思った。