第280章:不倫発覚

二人は付き合って一年近くになり、最初から細田仲男は中山玲奈に、離婚したら彼女と結婚すると約束していた。

中山玲奈はそれを深く信じ、細田仲男の離婚を待ち続けていたが、細田仲男はいつも焦ってはいけない、財産を全て移転してから離婚すると言っていた。

中山玲奈は細田仲男のことも、お金のことも好きだったので、自然と細田仲男の言葉を信じていた。

しかし、あっという間に一年が過ぎ、その間に何度か離婚の時期について尋ねたが、細田仲男の答えはいつもあいまいで、もう少し待ってほしいと言うばかりだった。

中山玲奈は心を広く持つしかなかった。少なくとも彼女から見れば、細田仲男は彼女に対して誠実だったので、細田仲男が離婚して彼女と結婚すると信じ続けていた。

ただ、この質問をもう一度したいと思っていたが、ずっと適切なタイミングが見つからなかった。今、先ほどの話の流れで、中山玲奈は自然とその質問を口にした。

細田仲男はその場で自分の頬を思い切り叩きたくなった。心道「まったく、余計なことを言ってしまった」と。今、彼が最も恐れているのは中山玲奈に離婚のことを聞かれることだった。

なぜなら、細田仲男は最初から離婚して彼女と結婚するつもりなど全くなく、当初の約束も一時しのぎに過ぎず、ただ中山玲奈と関係を持ちたかっただけだった。

今、中山玲奈が真剣な表情で尋ねると、細田仲男は内心焦りながらも、笑顔を作って答えた。「もうすぐだよ、もうすぐ。僕の状況も分かるでしょう?あれだけ大きな会社と、不動産に子供のこともあるし、全部きちんと処理しないといけないでしょう?」

また同じ言い訳だった。彼女は逆から言っても暗記できるほどだった。

「あなたはいつもそう言うわ」中山玲奈は焦った。結局、嘘は一度や二度なら信じられても、もう一年も経っているのに、細田仲男はいつも同じ態度で、彼女だってバカじゃない、心の中で自然と判断できていた。

「あなた、本当は離婚する気なんてないんでしょう!」涙を堪えながら、中山玲奈の心はもう確信に近かった。

この細田仲男は、ただ彼女を騙していただけなのだ!