第310章:嫉妬の渦に沈む

その時、学校のグラウンドで。

林駆たちは他のクラスの男子とバスケをしていた。

ボールをキャッチし、ドリブルし、相手をかわし、三歩で跳躍し、ダンクシュート。一連の動きが流れるように美しく、観戦している女子たちから悲鳴が上がった。

しかし、林駆の顔には普段の太陽のような笑顔はなく、むしろ表情は硬く、目には複雑な感情が宿り、全身から明らかな憂いの気配が漂っていた。

バスケットボールを投げ捨て、林駆はコートの端に向かって歩き始めた。他人の傍を通り過ぎる時も、まるで存在しないかのように、肩で強引に相手にぶつかっていった。

その相手は眉をひそめ、不快な表情を浮かべたが、何か言おうとした時、駆けつけた藤井空の手振りで制止された。

藤井空は申し訳なさそうに笑いながら言った。「すみません、あいつ機嫌悪いんで、許してください!」

みんな同じクラスではないが、休み時間によくバスケをする仲間だった。林駆は普段から性格が良く、試合に負けても決して怒ることはなかった。

その男子は言葉を聞いて仕方なく頷き、手を振って許すジェスチャーをした。

藤井空は林駆に追いつき、親しげに肩に手を置いて、眉をひそめながら尋ねた。「もういい加減にしろよ、何か悩みでもあるのか?」

コートの端に着くと、林駆は階段に置いてあったミネラルウォーターを開け、ゴクゴクと一気に半分飲み干した。額の薄い汗が光り、彼をより一層かっこよく見せていた。

藤井空は彼が黙っているのを見て、仕方なくため息をついた。

こいつは、昼食時に食堂で馬場絵里菜とあの突然現れたイケメンを見かけてから、ずっとこんな様子だった。

どこかおかしくなってしまったのだろう!

二人に関係があるかどうかもまだわからないのに、たとえ関係があったとしても、恋人同士の関係なんてありえないだろう?

あの男は確かにイケメンだけど、見た目は少なくとも二十歳くらいはありそうだった!

そのとき、トイレから戻ってきた高遠晴は、二人がコートの端に立っているのを見て早足で近づき、淡々とした表情で尋ねた。「どうしたの?もうやめるの?」

藤井空は口を尖らせ、林駆の方を顎でしゃくりながら言った。「このお兄ちゃん、やきもち焼きが治らないんだよ!」