第380章：厄介者が来た

絵里菜が考える間もなく、家のドアが外から開けられた。

細田お婆さんが先頭に立ち、細田繁がその後ろに続いていた。二人とも顔色が暗く、笑顔の欠片もなかった。

この様子を見ただけで、何かを企んでいることは明らかだった。

絵里菜が挨拶する前に、細田お婆さんが直接口を開いた。「絵里菜、お母さんは？」

その口調は、高圧的そのものだった。

絵里菜は心の中で冷笑した。動きが早いものだと。

明らかに、絵里菜はお婆さんと叔父が何のために来たのかを知っていた。

足立区の再開発の話が出たばかりで、早くも騒ぎを起こしに来る人がいるとは。

絵里菜は心の準備ができていた。というより、この件を計画し始めた時から、こういう日が来ることを予測していた。

表情を変えることなく、絵里菜は淡々とした口調で答えた。「家にいません」

「家にいない？」細田繁は眉をひそめ、冷たい声で尋ねた。「どこに行った？」

絵里菜はそれを聞いて、思わず嘲笑的な笑みを浮かべ、不思議そうな顔で細田繁を見て言った。「叔父さん、わかっているくせに。母は夜に家にいないのは、もちろん仕事に行っているからですよ！」

二人は言葉に詰まり、思わず目を合わせた。

細田繁は胸が詰まる思いで、自分が怒りに目が眩んで、こんな当たり前のことまで忘れていたことを悔やんだ。

姉に会いに行くなら、当然昼間に行くべきだった！

絵里菜は二人を一瞥し、二人が何を考えているのかを理解した。

細田登美子は実際には仕事に行っていなかった。最近は新居の内装工事をしていて、毎日遅くまで帰ってこなかっただけだ。

「お婆ちゃん、叔父さん、母に何か用事があるんですか？」絵里菜は意図的に尋ねた。

彼女は、この人たちの厚かましさがどこまで行くのか、この件について彼女に言い出す面の皮があるのかどうか、見てみたかった。

細田お婆さんは不機嫌そうに絵里菜を一瞥し、結局子供相手には話さないことにしたようで、冷たく言った。「明日の昼間、お母さんに家で待っているように伝えなさい。用事があるって言っておきなさい。わかった？」

絵里菜はそれを聞いて、子供である自分とは話し合わず、直接母親に会うつもりなのかと思った。

細田登美子は退院してまだ間もない。絵里菜はこんな人たちに母を困らせるわけにはいかなかった。