正確で、容赦なく、キレのある動き。
一連の動作が一気に完了し、月島涼は始めから終わりまで一歩も動かずに、瞬く間に一人を倒した。
玄人の一手を見れば、実力の有無が分かるものだ。
田中勇たちは状況を見て気勢が萎え、一斉に足を止めた。その中の一人は目に恐怖の色を浮かべ、心の中で「こいつは一体何者だ?」と思った。
「勇、これは...どういう状況なんだ?」その男は震える声で言った。
田中勇はそれを聞いて、歯を食いしばった。「何をビビってんだ?俺たちこんなに大勢いるのに、一人のやつを怖がるのか?みんな、やっちまえ!」
言い終わるや否や、田中勇は後ろから前にいた二人を押し出した。二人は仕方なく覚悟を決めて月島涼に向かって突っ込んだ。
しかし、その二人が数歩進んだところで目の前が一瞬ぼやけ、月島涼が元の位置から消えたのを目撃した。その速さのあまり、残像だけが残った。
数人が反応する間もなく、月島涼の姿は既に二人の背後に現れ、彼は二人の頭を掴むと、力を込めて頭と頭をぶつけ合わせた!
二人はその場で目を白黒させ、気を失ってしまった。
五人のうち、一人は倒れ、二人は気絶し、残るは田中勇ともう一人だけとなった。
二人は互いを見つめ合い、田中勇の先ほどの傲慢な態度は完全に消え失せ、代わりに恐怖に満ちた表情となった。
彼は先ほどはっきりと見ていた。目の前のこの男は人間ではない。人間が空中から消えることなどできるはずがない。
恐怖心から、田中勇は本能的に逃げ出そうとしたが、振り向いた瞬間、月島涼が既に彼の背後に現れていた。
「あっ...」
田中勇は悲鳴を上げ、あまりの驚きに尻もちをついてしまった。
彼は幽霊でも見たかのような目つきで月島涼を見つめ、地面を這いながら後ずさりした。「お、お前、近づくな!」
もう一人の男は逃げ出そうとしたが、一歩も走れないうちに首筋を月島涼に掴まれてしまった。
一気に力を込めて男を投げ飛ばすと、「ドン」という音とともに地面に叩きつけられ、埃が舞い上がった。
田中勇はその光景を目の当たりにし、天が崩れ落ちるような感覚に襲われた。
「兄貴、兄貴、申し訳ありません!今回だけは許してください!」