第416話:兄貴、申し訳ありません兄貴

正確で、容赦なく、キレのある動き。

一連の動作が一気に完了し、月島涼は始めから終わりまで一歩も動かずに、瞬く間に一人を倒した。

玄人の一手を見れば、実力の有無が分かるものだ。

田中勇たちは状況を見て気勢が萎え、一斉に足を止めた。その中の一人は目に恐怖の色を浮かべ、心の中で「こいつは一体何者だ?」と思った。

「勇、これは...どういう状況なんだ?」その男は震える声で言った。

田中勇はそれを聞いて、歯を食いしばった。「何をビビってんだ?俺たちこんなに大勢いるのに、一人のやつを怖がるのか?みんな、やっちまえ!」

言い終わるや否や、田中勇は後ろから前にいた二人を押し出した。二人は仕方なく覚悟を決めて月島涼に向かって突っ込んだ。

しかし、その二人が数歩進んだところで目の前が一瞬ぼやけ、月島涼が元の位置から消えたのを目撃した。その速さのあまり、残像だけが残った。