お婆さんは本当にしばらく考え込んでから、ゆっくりと頷いた。「確かに建設業界では凄腕みたいね!」
お爺さんはまた深いため息をついた。「絵里菜がどうやってここまでできたのか分からないよ。去年の正月にはまだ大きな声も出せない小娘だったのに、半年会わないうちにこんなに変わってしまうなんて?」
性格の変化だけでも驚くのに、こっそりと会社まで立ち上げるなんて。
細田お爺さんは幾ら考えても理解できなかった。
お婆さんは馬場絵里菜のことを思い出すと、なぜか嫌悪感が込み上げてきた。細田お爺さんが半年会っていないのと違って、お婆さんは既に何度も馬場絵里菜の恐ろしさを味わっていた。前回などは容赦なく熱湯を浴びせかけられ、まさに鬼のような仕打ちだった。
「あの娘は、しつけが足りないわ!」お婆さんは鼻で冷ややかに笑い、鋭い目つきで凶光を放った。「さっきの言葉遣いといい態度といい、私たち年長者を全く敬っていないじゃないの?」
お爺さんはこの意見に同意して頷いた。「確かに躾が悪いな。」
二人は話しながら、近くのバス停に向かって歩いていった……
その時、細田芝子の家では、数人がソファーに座って話をしていた。
「梓時、お爺さんとお婆さんを連れてきたのはあなたなの?」
二人の老人が帰った途端、伊藤春は表情を曇らせて細田梓時を問い詰めた。
細田梓時はさっきからずっと横で聞いていたが、具体的な事情は分からなかった。とにかく両者が口論していたことは分かった。
そう考えると、少し怯えて首を縮めた。「僕は…わざと口を滑らせたわけじゃないんです。」
伊藤春はその様子を見てため息をつき、細田梓時を叱ることはせず、細田登美子に向かって言った。「登美子、これは私の責任よ。梓時に言い聞かせておくべきだったのに、あの日お兄さんが夜に迎えに来たから、すっかり忘れてしまったわ。」
「大丈夫よ、お姉さん。」細田登美子は気にしない様子で笑った。「これはお姉さんの責任でもないし、子供のせいでもないわ。それに、いつかは向き合わなければならなかったことだし、今日で解決できたから、もう毎日彼らを避ける必要もなくなったわ。」
伊藤春は細田登美子が怒っていないのを見て、やっと安心して頷いた。