第641章:自分自身の問題のようだ

林駆を見た途端、夏目沙耶香と高橋桃は同じような反応を示し、驚いて後ずさりした。

相手が誰だと分かると、夏目沙耶香は目を丸くして尋ねた。「まさか林駆、日焼けクリーム塗ったの?」

林駆は何でもないように手を振った。「ちょっと黒くなってみただけさ。二、三日で元に戻るよ」

「武道場で武術を習いに行ったって聞いたけど、本当?」夏目沙耶香は座りながら皆に尋ね、高遠晴を見て意外そうに言った。「高遠晴がそんなところに行くなんて珍しいわね」

馬場絵里菜は頷いて答えた。「私と月島が先に行って、後から林駆と高遠晴が来たの。興味ある?体を鍛えるにはいいわよ!」

夏目沙耶香はすぐに首を振った。「私はいいわ。私が売れたら、ボディーガードを10人雇って毎日守ってもらうから、武術なんて必要ないわ」

「沙耶香、ドラマの撮影終わったの?いつテレビで見られるの?」高橋桃はすぐに夏目沙耶香に尋ねた。

夏目沙耶香は口を尖らせて言った。「それがはっきりとは言えないの。早くても冬になるんじゃないかな」

みんな夏休みの間ほとんど会えていなかったが、今こうして夏休み終わり前に集まれて、雰囲気は特に盛り上がっていた。話題は尽きることなく、次々と会話が続いた。

食事の途中、女子たちが一緒にトイレに行った際、藤井空は林駆の前に寄って、興味深そうに眉を上げた。「どうなってるんだよ、林駆?」

林駆は眉をしかめ、不思議そうに彼を見た。「何がどうなってるって?」

「チッ!」藤井空は目を見開き、馬場絵里菜の席の方を顎でしゃくった。「何がって、お前と馬場絵里菜はどうなってんだよ!進展あった?」

林駆は首を振った。「別に進展なんてないよ」

「お前、大丈夫かよ?夏休み中ずっと一緒にいたのに、何も進展なしかよ?」藤井空は呆れたような口調で言った。「お前、彼女のためにこんなに日焼けしたのに、何もアピールしなかったのか?」

藤井空の声は大きくなかったが、個室内の全員に聞こえていた。豊田拓海は興味深そうに視線を送り、何かを察したような様子だった。

この林駆という男子は、絵里菜のことが好きなのか?

一方、月島涼はずっと黙々と食事を続けていた。こういったことには普段から関心を示さず、それは門主の私事だと考えていた。

林駆もこの話題を避けようとはしなかった。結局、この数人の親友以外には話せないことだった。