第715章:私を家に送ってくれる?

その時、井上雪絵は第二中学校の正門の外に立ち、片手に携帯電話を持ちながら、あちこち見回して井上裕人の車を探していた。

電話がつながると、井上雪絵はすぐに言った。「お兄ちゃん、到着したって言ったのに?どこにいるの?」

「着いたけど、また行っちゃった!」井上裕人は電話で言った。

井上雪絵は一瞬固まった。「え?どういう意味?私を迎えに来たんじゃないの?」

「急に用事ができたんだ。」井上雪絵の問いに、井上裕人は少し後ろめたさを感じた。

「もうすぐ雨が降るのに、私どうすればいいの?」井上雪絵は不機嫌そうに尋ねた。普段は頼りになる兄が、今日はどうしたというのだろう?

井上裕人が話そうとした瞬間、携帯電話が突然馬場絵里菜に奪われた。馬場絵里菜は電話を耳に当てて言った。「雪絵?」