第783章:これが一番若いのかな?

あの女の子は一中で数学コンテストに参加した時に一度だけ会ったことがあるんだ。とても綺麗な子だったけど、隼人は好きじゃないと言っていた。

このことから、隼人の心の中の基準はかなり高いことがわかる。少なくとも、綺麗なだけではダメなようだ。

夕食の席で、みんなが談笑し、とても賑やかだった。

「十月一日は会社が休みだから、一緒に旅行に行かない?」

伊藤春が突然提案した。

今は九月がもう三分の一ほど過ぎていて、十月一日の休暇はあっという間に来るだろう。

馬場絵里菜も聞いて頭に閃いた。これだけ長い間、母と叔母はまだ一緒に旅行に行ったことがないのだ。

「いいね、ちょうど私たちも休みだし」と絵里菜は言った。

唯一細田登美子だけが断った。「私は行かないわ。私の仕事に法定休日なんてないし、国慶節はちょうど忙しい時期だし、私はちょうど会社に戻ったばかりだから、遊びのために休暇を取るなんてできないわ!」

絵里菜は母がそう言うだろうと思っていた。

でも考え直してみると、母の言うことももっともだった。自分が井上お爺さんを一度救ったからといって、母に常に特別扱いをしてもらうわけにはいかない。職場にはそんなルールはないのだ。

「あなたたちは行けるわよ。こんな良い機会はなかなかないんだから、私のことは気にしないで」と細田登美子は笑いながら言った。

仕事に戻れただけで彼女はとても嬉しく、この数日間の気分も良かった。

「ママの言うことももっともだね。叔母さん、おばさん、じゃあ私たちで行こうよ。どこに行きたい?」と絵里菜は皆に尋ねた。

細田芝子は今まで旅行に行ったことがなかったので、彼女にとっては東京を離れてどこに行っても旅行だった。どこでも彼女は嬉しかった。

伊藤春は少し考えて提案した。「モルディブはどう?」

細田芝子と進藤峰は首をかしげた。

モルディブ?

なんだか外国の名前のように聞こえる。

「それは海外だよね?」と進藤峰は尋ねた。

伊藤春はうなずいた。「そう、でも飛行機ですぐよ」

「海外に行くにはパスポートが必要でしょ?私たち二人はパスポートを持っていないわ」と芝子は言った。