第792章：災難が山呼海嘯のように襲来

「どうしたの？体調が悪いの？」馬場長生は言葉を聞くとすぐに心配して尋ねた。

橋本好美は馬場長生の気遣いを感じ、思わず幸せな微笑みを浮かべながら答えた。「体調が悪いわけじゃないの、ただよく眠れなかっただけ」

「明日、病院に行って安神剤をもらってきたらどう？」馬場長生は優しく言った。

橋本好美はうなずき、特に抵抗する様子はなかった。

シャワーを浴びた後、二人はベッドに横になり、馬場長生は眼鏡をかけてテーブルランプの明かりで契約書に目を通していた。橋本好美はベッドの頭に寄りかかり、眠る気はなく、ただ馬場長生と話したいと思っていた。

少し考えてから、やっと話題を見つけて口を開いた。「長生、昨日東海不動産のニュースを見たわ。工事現場で何か事故があったみたいね」

橋本好美は普段ビジネスニュースなど見ないのだが、馬場長生の口から何度も東海不動産という会社の名前を聞いていた。

彼女は馬場長生の言葉をとても大切にする人だったので、新聞で偶然東海不動産の一面記事を見かけたとき、手に取って読んでみたのだ。

ちょうど今、寝る前の話題として彼と話すのにいいと思った。

馬場長生はその言葉を聞いて少し驚いた様子で、橋本好美が不動産業界のニュースに関心を持っているとは思わなかったようだ。

「それも知ってるの？」馬場長生は顔を上げて橋本好美を見て、優しく微笑んだ。

橋本好美は「うん」と言って、小さな声で続けた。「たまたま見かけただけよ」

「東海不動産の件は、最近少し怪しいんだ。誰かの恨みを買ったみたいで、誰かが陰で足を引っ張っているようなんだ」馬場長生は書類を見続けながら言った。

橋本好美はそれを聞いて興味を示した。「怪しいって？こういうことって工事現場ではよくあることじゃないの？」

馬場長生は顔を上げ、軽くため息をついた。「君はニュースを一つだけ見たんだろう？」

橋本好美はうなずいた。

馬場長生は続けた。「一週間も経たないうちに、彼らの会社では既に三回も工事事故が起きているんだ。そのうち二回は新聞に載った。しかも聞くところによると、すべて技術的なミスで、本来なら完全に避けられるはずのものだったらしい」

橋本好美は少し沈んだ表情でうなずき、独り言のようにつぶやいた。「まあ、ひどい人たちね。公平に競争すればいいのに、どうしてこんな卑怯な手段を使うのかしら」