064:大物は身近にいる!_2

「三兄さんは今日どうしてこんなに話しやすくなったの?」

思えば。

彼は前はこんな感じじゃなかったのに。

「三兄さん、本当に?」

「ああ」

一橋景吾はすぐに山下言野の後を追った。

すぐに。

二人は店の入り口に着いた。

一橋景吾は鋭い目で待っている小林綾乃を見つけた。

そしてその時、彼はようやく山下言野が突然態度を変えて火鍋を食べに来たい理由を理解した...

小林のためだったんだ。

ふん。

やっぱり三兄さんには何か企みがあったんだ。

一橋景吾は驚いたふりをして言った:「あれ、小林じゃない?」

優秀なウイングマンとして、山下言野にあらゆるチャンスを作らなければならない。

そう言いながら、一橋景吾は小林綾乃に手を振りながら彼女の方へ歩いていった。「小林」

山下言野も彼の後に続いた。

声を聞いて、小林綾乃は少し顔を上げた。

目に飛び込んできたのは、男の整った顔立ちだった。彼は白いシャツを着て、一番上のボタンは外されていて、美しい鎖骨が垣間見え、どこか禁欲的な雰囲気を漂わせていた。

「鉄屋?」

傍らの一橋景吾:「...」

自分が山下言野ほどイケメンじゃないのは認める。

でも小林に存在すら気付かれないのはちょっとひどくない?

山下言野は笑いながら言った:「なんて偶然だね」

「本当に偶然ね」視線を移すと、小林綾乃はようやく一橋景吾に気付いた。「六郎さんも一緒なんだ」

よかった!

小林がようやく彼に気付いてくれた。

一橋景吾は満面の笑みで言った:「三兄さんと火鍋を食べに来たんだ。そうだ、この美人は誰?」

小林綾乃は紹介した:「青葉高校で知り合った親友の渡辺麗希よ。麗希、この二人も私の友達で、鉄屋と一橋景吾」

鉄屋?

この名前を聞いて、渡辺麗希は少し笑いそうになった。

かなりイケメンなのに。

どうしてこんなにイメージと合わない名前なんだろう?

だから小林綾乃が彼のことを鉄屋と呼んでいたのか。

仲が良いからそう呼んでいるのかと思っていた。

渡辺麗希は笑いを堪えながら二人を見て、「鉄さん、あっ...山下さん、一橋さん、はじめまして」

言い終わって。

渡辺麗希の顔は真っ赤になり、少し気まずそうだった。

どうして鉄さんと呼んでしまったんだろう?

気を付けていたのに。