なぜ分からないの?
気にしていなかったからだ。
自分のことを全く気にかけていなかったからだ!
中島強は王丸春を抱きしめながら近づいてきた。「春、ごめん。本当に申し訳なかった。君と藍にもう一度チャンスをくれないか?」
王丸春は何も言わず、中島強を押しのけることもなかった。
一瞬、空気が重くなった。
ギィー。
そのとき、手術室のドアが開いた。
中から看護師が出てきた。
「中島藍さんのご家族の方はいらっしゃいますか?」
「私が父親です!」
「私が母親です!」
中島強と王丸春がほぼ同時に声を上げた。
看護師はメモ帳を手に取り、「中島藍さんの状態は現在非常に危険で、緊急の冠状動脈バイパス手術が必要かもしれません。中島藍さんの普段の状態について確認させていただきたいのですが。」