「うん、慣れたわ。」植田雅静は言った。
渡辺麗希は笑いながら言った。「あなたのその習慣はかなり変わっているわね。」
植田雅静は少し笑ったが何も言わなかった。
しばらくして。
クラスの人が徐々に増えてきた。
大橋然斗もバッグを背負って席に着いた。
彼が来るとすぐに、目が赤く腫れている植田雅静を見た。
明らかに。
泣いた跡だった。
大橋然斗は少し眉をひそめた。
どうやら、この件は小林綾乃と無関係ではないようだ。
視線が小林綾乃に落ちると、彼女は緑色の表紙の本を見下ろしていた。
小林綾乃は本当にすごい!
植田雅静をこんなに虐めておきながら、平然と本を読んでいるなんて!
どうやって読めるんだろう?
小林綾乃の良心は痛まないのか?
そのとき、大橋然斗はようやく気づいた。小林綾乃が読んでいるのは翻訳されていない外国語の本だった。