107:都内サークルの大物_5

彼女は何度も小林綾乃を山下言野に紹介すると言っていた。

しかし山下言野はずっと断り続けていた。

結婚しないとか。

恋愛もしないとか。

白川露依が横から歩いてきて、笑いながら言った。「莉理、まだ気づいてないの?あなたのおばあさんは一人で盛り上がってるだけよ。言野はあの小娘なんて全然気に入ってないわ」

誰があんなに計算高い女の子を好きになるだろうか。

山下言野はバカじゃない。

言い終わると、白川露依は山下おばあさんを見て、続けた。「お母さん、おかしいと思いませんか?若い女の子で、京劇が好きな子なんてほとんどいないのに、彼女は好きなだけでなく歌えるなんて。それはなぜだと思います?」

明らかだった。

この女の子は何か企んでいる。

彼女はこのような方法で山下おばあさんに自分が特別だと思わせようとしている。